
あくまでも、僕の場合は、ということで。
蔵王の工房などで時間の制限無く彫れる作品と、デモンストレーション・ショーの際に彫る作品とでは、手数(てかず)や格好が違います。

この子は、持っているチェーンソーの中で一番小さいSTIHLのMS201Cでワンタンク、20分間のデモで彫るパターンです。

材料の丸太も節だらけ。市場性はありません。僕の作品の多くは、木地の目立たない着色仕上げになっている理由のうちのひとつです。

『森の楽園』を開拓したときに出た材は、数十年の間も人の手が入らない放置林だったため、みな、このような材ばかりでした。
苗木の時には、成長したら立派な材になって、『だれかの夢のマイホームに』と、夢を抱いていたのかな、と。なんだか、人間社会のようです。
『捨ておかれ 野で朽ち果てるこの材の
銘得て人と健やかに
建て活く夢の儚さよ
ひたすらに
天を目指したその命
我ら流しの彫り師らは
この一刻に
君の命をしたためる
チェーンソーアート舞登竜門会』