一世紀近く前、川崎町青根温泉と蔵王町遠刈田温泉を結ぶ峠道からは湯煙の立ち上る遠刈田温泉や仙南温泉軌道を登りきった汽車が吐き出す黒煙が見えたと聞きます。古賀政男の昭和の名曲「影を慕いて」は、氏が失恋し傷心のまま夏の青根温泉を訪れた後に生まれました。自害しようと山中を彷徨ったのち友人に救われ、帰京してからその際の胸のうちを歌にしたのが「影を慕いて」だそうです。
“薪”が生活の一部から遠ざかり、楢や椚が背高く地表を覆わんばかりに茂った森の年齢は60歳を超えています。七日原まで続いていたという牧場の面影はほとんど無く、背高く伸びた木々のお陰で峠の“ばば小屋”付近から遠刈田温泉を見渡すことは出来ません。古賀政男の見た当時の夏の山中はどのような風景だったのでしょう。
秋が魅せる何ものにも勝る自然の造形美、もし秋の青根、遠刈田を古賀政男が訪れていたら、名曲も変わっていたかも知れませんね。
実のところ“森”は今、非常事態。“木々の更新”がされずにいて若木が巨大な老木の影となり丈夫に育つことが出来ずにいます。そして森全体がナラ枯れをはじめウイルスや病害虫にかかりやすくなっています。そんななか、お隣の川崎町では今月11月より薪ストーブ愛好者約30人が集い「川崎―仙台薪ストーブの会」を結成して森の更新を始めています。
“自然のサイクル”に合わせたライフスタイル。貴方も参加してみませんか。