“チョ〜ン、チョ〜ン、マッチ一本火事の元”。樫の木や黒檀など硬い材で作られ、組紐で対となって首からぶら下げられているものといえは拍子木。子供の頃は夜回りにも子供たちが大人に混じり、防火提灯を先頭に拍子木係りに調子を合わせて“チョ〜ン、チョ〜ン、マッチ一本火事の元”と町内を練り歩いたものだ。
子供は大人の真似をするのが大好きで、大人が手にするもの、大人が口にするもの、大人のする仕草を真似たがる。どんな大人の素振りでも格好良く見えるんだね。そんな小さなことから世間との関わり方が自然に身に付き、大人になっても部落の青年会やら翁衆の幹部会などで地域との係わり合いを保ってゆく。
集団の中でこそ養われるものは沢山あって、それが大きく言えば社会参画への基礎ともなってゆく。何故ならばバラバラの思想信念を持った人間が集まって一つの行動を成すためには“奉”の精神が不可欠だからだ。“奉”は言わずとも“まつり”と読み仮名を持つことは誰でも知っているよね。日本の精神帰依である“まつり”は“まつり”なんじゃないのかと思うんです。そう、あの“まつり”じゃないよね。
時は流れ、夜7時までの夜回りに子供が参加することは勿論、大人の拍子木の音さえにも気遣いが必要で、“チョ〜ン”なんてやったものなら119番の消防に苦情が入る世の中となった。え?信じられないって?、今の世はそうなんですよ。
晩酌の時間をほんの少し、住んでいる地域のために使ってみませんか?未来は変えられると思いますよ。どうぞお住まいの地区を管轄する消防署・消防団を訪ねてください。日本国中、どこの地区でも他人愛で作られた仲間が居るはずです。